Ryan McGinley 「ポストモダン」

 Ryan McGinleyのスクラップを始めてから、内容や感じたことなどをいつかBLOGで整理したいと思っていました。

先月くらいから、書き始めようとしてはいたのですが、どこから書いたらいいのか、どんな風に書こうか迷ってばかりで一向に進みません。
そんな時に、ホンマさんの『たのしい写真 よい子のための写真教室』を読み、ここ書かれている「決定的瞬間」、「ニューカラー」、「ポストモダン」に当てはめて考えて、3回に分けて書いていこうと決めました。

ということで、今回がRyanに関する個人的写真的思考の最後です。


写真の「ポストモダン」は、1991年にニューヨーク近代美術館(MOMA)の写真部長になったピーター・ガラシが手がけた展覧会「Pleasures and Terrors of Domentic Comfort」がターニングポイントになっているようです。

展覧会のカタログの表紙は、アメリカの中流家庭のキッチンで、ひとりの少年がうつむき加減に立っている写真です。
この写真を撮ったディコルシアは、あたかも映画のセットのようなシチュエーションをまず創って、それから写真を撮影します。

《細部にいたるまですべてを完全に構成して演出する、セットアップの写真》です。


これをRyanの写真に当てはめた時に出てきたのが「Sun and Health」に代表されるロードトリップの写真でした。


初期の作品は、日常をドキュメンタリーとして撮影していた写真でしたが『2年間撮り続けたら、もうそれも自分の中では新しくなくなってしまった。その後は写真を撮ることじゃなく作ることを始めたんだ。』と語っている通り、作風が変化していきます。

初めは、03年のホイットニー美術館の個展の後に、コレクターの人が貸してくれたという山荘でトランポリンの上で飛び回って撮影していたそうです。
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そして、日が暮れた後に友人に素っ裸になってもらい木の上に登ってもらう様子も撮影しています。
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(相変わらず画像粗くてすみません)
この頃は1960年代のヌーディストキャンプやウッドストックについてかなりリサーチしたらしく、『60年代のヒッピーがやっていたようなことを僕の世代がやるとどう受け止められるかとか、今の保守的な風潮に対する反逆を込めてる』とRELAXのインタビューには載っています。


そして、友人のマイク・ミルズの映画「Thumbsucker」の舞台裏の撮影や、New York Times Magazineの仕事で水泳のオリンピックアメリカ代表チームを撮るために、国内を数ヶ月間旅して撮影をした事から全米を90日間かけて旅して撮影することを思いついたそうです。


3年間、毎年3ヶ月かけて旅をしながら撮り続けた撮影は、彼の写真のコレクターであるアニエス・ベーに資金援助をしてもらい実現させたようです。(ちなみに、お二人はNYのバーで偶然出会ったそうです。その時点ではRyanが写真家である事を知らなかったようなので、すごく運命的ですね)
と、ある雑誌には載っていたのですが、このページを見るとパーティだったようです・・・。


僕は、この頃の作品集であるPS1での個展のカタログや、「Sun and Health」を残念ながら持っていないため(財力不足です…)、雑誌やネットで見ただけです。もし、見せてくれる方がいたら幸いです。(その後、両方とも手に入れました。2012.8月)
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これらは、シチュエーションをセットアップした中でのハプニングを撮っている写真だそうです。
状況をこしらえて、モデルにそのなかでふるまってもらうという点ではフェイクの要素がありますが、Ryanの中には撮りたい明確なイメージがあり、その『明確なアイディアとビジョンに基づいて
モデルに指示を出せば、いつでもリアルな物語になるんだよ』と語っています。

セットアップした中でドキュメンタリーに見えるように撮っている写真なので、これも厳密には《細部にいたるまですべてを完全に構成して演出する、セットアップの写真》である「ポストモダン」には当てはまらないのだと思います。前回に続き、あくまで個人的な見方です。


ロードトリップの撮影では次第に人の身体に興味がでていったらしく『人間の身体がつくるフォーム、人により異なる美しさに魅了された』とも語っています。

こういった身体への興味が後に「Everybody Knows This Is Nowhere」に繋がっていたのかもしれませんね。

この「Sun and Health」のシリーズ。2007年のEsquireでのRobert Frankの取材で撮影者として同行した際に、Frank氏にアナザーカットで構成された写真集を渡しています。
それを見たFrank氏は「どこにもアメリカは写ってないじゃないか」「この写真はどこでも撮れる」と言っています。

それについてRyanは、その後のEsquireのインタビューで、『山、空、水、砂。ただそれだけで、場所を特定できない。Robertの写真はとても特定的だ。僕はそうではなくて、タイムレスな写真を撮りたい。』と語っています。
一見するとアメリカが写っていない、どこでも撮れる写真なのかもしれないですが、タイムレスな写真だからこそ様々な人達を魅了する事も出来るのだと思います。

だけど、本当にアメリカは写っていないのでしょうか?

その時のインタビューの話の続きがSTUDIO VOICEの若手写真家特集にも少し載っています。
アメリカのことになったとき、『Frankはああ言ったが、僕は、どこにもない場所としてアメリカを撮っている』ときっぱりと言った、と書いてあります。

「どこにもない場所としてのアメリカ」とは、Ryanが思い描くユートピアとしてのアメリカだと思います。

そのインスピレーションの元になるものって何だろうと探した時に、VICEにその事に触れた文があるのを見つけました。
Ryanの掲示板↓
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②のところ。『児童書の中にあった、水に落ちる子供の絵。去年の夏に撮った写真は、全部人が空から落ちる写真で、その絵がそのシリーズのインスピレーションだったんだ』と語っています。
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ここにも、おじさんが落ちている絵があります。

その落ちる写真↓
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また、paperskyでは、『最近は子ども図書館で多くの時間を過ごし、ヒントを得ている。「トム・ソーヤーの冒険」のように幼少に読んだ本を読むんだ』と語っていますし、下のi-d magazine january 2009では
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『I love photographing nudes and animals and having the pictures look like illustrations from a children's book story about an adventure.』とも語っています。
このようなアメリカの児童書の絵や、児童文学がインスピレーションソースのようです。



日本の写真家の川内倫子さんは海外の方から「あなたの写真は俳句でしょ?」と言われるそうです。
それに対し「自然や日常のモチーフを使って、ある形式美、様式美にあてはめていくという手法が、彼らの俳句の解釈と近いのかもしれません。」と川内さん本人は語っています。


それと同じような事がRyanの写真でもあるのではないかと思います。


僕自身はあまりアメリカの児童文学や絵に触れた経験がないのですが、子供の頃に夢見た冒険や探検、そんな胸躍る感覚や、解放的なイメージ = アメリカと捉えています。
そんな憧れのイメージのアメリカと、Ryanの写真を通して見るアメリカが合致している点が僕を惹きつける一つの要素でもあると感じます。

アメリカ以外の国に住む男性の個人的な視点でですが、写真の中に「どこにもない場所としてのアメリカ」がやっぱり写っているのだと思います。


と、個人的な見解や感想を3回に渡り書いていきましたが、文章を書く力がない為、読みづらく解りにくい文だと思います。。。
もっとRyanの写真について書きたい事はあったのですが、更にまとまりがなくなりそうな気がしたので、またいつかの機会に書いてみようかなと思っています。
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by hikaru-suto | 2012-03-14 15:02 | Ryan McGinley

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